“ベント”なお話

こんにちは、スーツ買取.comです。


スーツの背面裾にある切れ込みを通称“ベント”と言います。


座った際に上手く生地を逃がしたり、前後の動き易さを確保するための実用的なディティールなのですが、
今日は少し突っ込んだ“ベント”なお話をさせて頂きますので、ご興味ございましたらご一読ください。


さてその“ベント”。良く見かけるのが「センターベント」と「サイズベンツ」ですね。


フォーマルシーンでは“ノーベント”、少し変わり種で“フックベント”もございますので、各項目に分けて簡易的に説明させて頂きます。


●センターベント
スーツはイギリスで誕生したものですが、誕生した当初はベントが入っていませんでした。
しかし、切れ込みが入っていないと乗馬をするときにきっちりしたスーツの形が邪魔になり、馬に乗りにくいという弊害が出ていました。
そこで出来たのがセンターベント。センターベントは乗馬における動きやすさを追求したデザインです。
センターベントを施すことで鞍にまたがった騎馬姿勢をとっても、裾がきれいに収まります。センターベントを「馬乗り」と言われるのは上記の名残です。


●サイドベンツ
騎士が腰に付けた剣(サーベル)がきれいに収まるように施されたのがサイドベンツ。
両サイドにベンツを施すことでサーベルの鞘がきれいにのぞくように設定されています。軍服としてのデザインです。
このことから現代のサイドベンツがあるスーツは権威や貫禄が出た印象になります。

スーツ ジャケット ベント サイドベンツ センターベント

●ノーベント
今まで紹介した「センターベント」「サイドベンツ」が「動きやすさ」という機能性を高めるためのディテールであったのに対して
「ノーベント(ベントなし)」は機能性の求められない社交パーティーなど公式の場で着用するスーツに採用される由緒正しい最もクラシックなデザインです。
タキシードやディレクタースーツにはマストなディテールであり、クラシックを大事にするクラシコイタリアのスーツにもよく採用されます。
ドレッシーでエレガントな雰囲気を演出するならノーベントがおすすめです。


●フックベント
フックベントはベントの上部がカギ型になっており、アイビー調のジャケットやモーニングコートなどに見られるディティールです。
一般的なビジネススーツではあまり見ることはありませんが、オーダースーツでさりげないオシャレとして取り入れる方もいらっしゃいます。

スーツ ジャケット ベント サイドベンツ センターベント フックベント

ではこれらの“ベント”、フォーマル時の「ノーベント」以外ではどの種類を選べばいいのか?


私の持論では「どっちゃでもええ」です。


「英国スタイルではサイドベンツが・・・」


「センターベントの方が若々しい印象で・・・」


「フックベントはこなれた印象が加味され・・・」


など調べれば調べるだけ様々な回答が出てまいりますが、たかが背面の小さなディティール


そこまで印象が変わる訳がない。というのが私の見解です。

 

運動量の観点で顧みても、

「今日のジャケットは前後に動き易いなぁ~。さっすがサイドベンツ!!」

 

となる訳もなし。


正しい意味合いだけご理解頂き、是非飲み会の話のネタにでもご利用頂ければ幸いです。

 


皆さまの素晴らしいスーツライフにお役立て下さい。

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