「大は小を兼ねる」
【読み】 だいはしょうをかねる
【意味】 大は小を兼ねるとは、大きいものは小さいものの代用として使える。小さいものより大きいもののほうが使い道が広く役に立つということ。
※故事ことわざ辞典より引用
こんにちは、スーツ買取り.comです。
いきなりですが、上記ことわざ、要約すると「双方迷う際は大きい物を買いましょう」という意。
本日は我々スーツに携わる人間にとって強く異を唱えたいことわざだと、痛感するエピソードを一つ紹介させて下さい。
このエピソードをお話する前に比較対象として私のスペックをご案内します。
身長171cm、体重6♡kg。最近ちょっぴりお腹のたるみが気になる標準体型です♥♥
スーツはA4、ヨーロッパサイズでは44サイズを着用しており、カジュアルではS~Mサイズ。
足のサイズは25.5cmです。
そんな私、前職ではスーツをはじめとする紳士服飾商材の販売業に従事しておりました。
とある日、私と近いご体型のお客様がご来店。
仕事用として御着用するスーツと紳士靴を誂えて欲しいとのご要望。
私:「ありがとうございます。承知致しました。では普段ご着用のお召し物のサイズをお伺いできますか?」
お客様:「普段はだいたいLサイズぐらいを着てます。足のサイズは28cmくらいです。」
私:「・・・。」
私:「えーっと、お客様、大変失礼ながら申し上げますが、お見受けするところ、私と同じくらいのサイズかもしくはもう少し細身のご体型のようにお見受けできますが・・・。」
お客様:「いや、窮屈なのが嫌いで、ゆったりしたサイズの方が楽に着れるし、靴もいちいちヒモを外して脱ぎ履きするのが面倒なんで。」
私:「・・・。」
一見、驚愕するようなこの光景。
実は非常に多いあるあるな光景なんです。
「ゆったりしたサイズ=楽」というお考えの方が非常に多いですが、この考え、全くもって見当違いです。
まずスーツのサイズ感にとって重要なのは肩ですが、しっかりと肩のラインが自身の肩山に乗ることでスーツの重量が均等に分担され、スーツの重さを感じることはありません。
また身体とスーツの間に大きな遊びがあると、自身の動きに生地がピッタリと付いてこず(動いた後に遅れて生地が付いてくるイメージ)、それが脳と実際の動きに乖離を生み、強いストレスを感じます。(元々が軽量なカジュアルウェアはここでは対象外とします)
大袈裟かもしれませんが、ビスポーク(フルオーダー)テーラーで一流のテーラーが誂えた完璧な採寸のスーツを着用したまま寝ると、パジャマより疲れが取れるとの逸話もあったりします。
それくらいサイズ感は重要ということです。
簡単ではありますが、スーツ選びのサイズについて僭越ながら教示させて頂きます。
①まず前述しておりますが「スーツは肩で着る」との格言がある通り、肩合わせが最重要です。
ジャケットの肩の縫目が自身の肩山(肩を触った際の骨の出っ張り)にしっかりと沿うサイズを選ぶ。
②次は袖丈ですが、ジャケットの袖先からシャツのカフスが1~1.5cm程覗くサイズが適正です。
ジャケットの袖先からシャツのカフスが出ていないまま着用すると、大きく不格好に見えることはもちろん、皮膚とジャケットの袖先が擦れ、破れの原因となり寿命にも関わります。
③ジャケットのフロントボタンを締めた際、拳が入る程度の身幅が最適です。
よく接客時に「フロントボタンを締めたまま着席すると窮屈」というご指摘を頂くことが多いですが、そもそも着席する際はフロントボタンを外すのがお約束。
逆にボタンを締めたまま余裕を持って座れてしまうスーツは身幅に関してオーバーサイズかと思われます。
④ジャケットの着丈ですが、自身のお尻が3/4ほど隠れる長さが最適です。
これより短くなると快活として印象となり、お若いフレッシャーズの方には最適ですが、30代以上の方がご着用する分にはやや軽薄な印象となってしまいます。
⑤スラックスの裾はハーフ~ワンクッション(靴に対する裾のたるみ)が最適です。
ここはお手持ちの靴のボリュームによって変わってきますので、可能であれば普段着用する靴を持参するか、店舗にある靴の中から近いイメージの靴を試着の上、裾を合わせてもらうようにしてください。
基本的にはプロの販売員の方にお任せすれば間違いはないかと思いますが、何もかも委ねるのではなく、
ある程度基本知識を持って上で接客を受ける方が、より販売員の方との意思疎通も図れ、皆さんのイメージに近い最適な1着が手に入ると思いますよ。
是非、素敵なスーツ選びにお役立て下さい!